世界で活躍する、アーティスト、バンドのオフィシャルサイト、ホームページの最新トレンドについてご紹介します。
まずは、2022年を席巻したイギリスのアーティスト、元One Direction の Harry Styles のオフィシャルサイトと、UKワイト島出身のロックデュオ・バンド Wet Leg のオフィシャルサイトを見てみましょう。
そして、オフィシャルサイトを持たないバンドの例にも触れますので、世界ではアーティストサイトがどのようになっているのか?見ていきたいと思います。
大手レコード会社と契約しており世界的に知名度のある海外アーティストの場合、大体が以下のようなテンプレートとなっています。
・最新リリース作品のファーストビュー
・最新リリース作品の購買動線
・最新動画の配置
・各SNSのリンク
・ニュースレターのサインアップ
リリース作品の購買リンクには、Linkfire のような音楽配信専用のスマートリンクを設置しています。
それと、海外のアーティストサイトで意外に多いのが、ニュースレターのサインアップを設置しているサイトが多いことです。正直ニュースレーターの手法はちょっと古いんじゃない?と思いますが、コアなファンに最新情報をメールを送ることが、最も確実でリーチしやすいということだと思います。
サイトのメニュー項目は意外にもシンプルです。
・トップページ
・ツアー/ライブ情報のページ
・オンラインショップ
このくらいシンプルな方が見やすですね。特にイギリスのアーティストサイトでは、このように最新リリース作品をフィーチャーした、本当の意味でのハブとなるオフィシャルサイトが多いと思います。Harry Styles の場合、2022年5月20日にリリースした最新アルバム『Harry’s House』仕様のオフィシャルサイトということです。
また新しいアルバムをリリースする際には、サイトもそのイメージに変更される訳です。
続いて、2022年最も注目を集めたインディーズ・デュオが Wet Leg です。Harry Styles のオーストラリア・ツアーに大抜擢されるなど、2022年最も話題となったインディーズ・デュオです。
Wet Leg のオフィシャルサイトも Harry Styles のサイト同じようなテンプレートで、メニュー構成もほぼ同じです。彼女たちが利用している購買リンクが Feature.fm というサービスです。ツアー情報は、よく海外のバンドが利用している Bandsintown のウィジェットを貼り付けています。
文化圏の違いもあるかもしれませんが、ある程度世界で認識されているアーティストやバンドのオフィシャルサイトでは、プロフィールページやディスコグラフィーページがなかったりします。多くの場合、彼らはマネージメント会社やレコード会社と契約しており、レコード会社のサイトにはバンドの最新のプロフィールページがあったりします。
例えばロンドンのアーティスト beabadoobee を日本で検索すると、以下の順に上記表示されます。
1. ビーバドゥービー – Wikipedia
2. Virgin Music の beabadoobee ページ (レコード会社)
3位以降は日本の beabadoobee に関する記事や商品ページが続き、10位に beabadoobee のインスタアカウントが表示されます。
つまり、プロフィールページの役割を Wikipedia や、レコード会社が担っており、ディスコページに関しても Spotify などのサブスクが元々あるような土壌ですので、特にプロフィールページやディスコページを設ける必要がないとも考察できます。
ここ数年、SNSでの情報発信が当たり前のように日常に埋め込まれると、オフィシャルサイトを持たないアーティストやバンドも世界的に増えてきています。一例として、ロンドンを拠点に活動する The Lounge Society というインディーズロック・バンドは、オフィシャルサイトを持たずに linktree (リンクツリー) をオフィシャルサイトとして活用しています。
彼らのような若い世代 (Z世代など) のバンドやアーティストは、Linktree などのリンクまとめサービスを利用してオフィシャルサイトの代わりとして代用しています。その背景には、彼らの若いファンも同様に生まれた時からSNSが有り、情報の取得はSNSで事足りている、検索などWEBサービスの利用はSNSで完結できるというような流れがあるかと思います。
また The Lounge Society の場合、マネージメント会社、ライブブッキング会社に所属し、プレス担当を付けることで、バンドは音楽制作やライブ活動に集中することができます。つまりインディーズではありますが、ある程度音楽活動する環境は整っており、自分たちでニュース更新や、ライブ情報を更新しなくても、担当のライブブッキングのスタッフがライブをブッキングし、プレス担当者がプレスリリースを行うため、特にオフィシャルサイトを持たなくても、今はSNSで十分情報発信できている、ということなんだと思います。
The Lounge Society の Linktree を見ると、ライブのチケット購入は International Talent Booking のリンクを貼り付け、デビューアルバムの購買リンクには feature.fm で各配信先、フィジカル (CD/LP) の購買リンクをまとめてリンクを貼っていたり、様々なWEBサービスを上手く利用して linktree にまとめています。正に簡易版のオフィシャルサイト (ハブスポット) として機能しています。
The Lounge Society も世界的に作品がヒットしたり、メジャーデビューしもっと多くの世代にも音楽が広がれば、オフィシャルサイトを作るかもしれません。アーティストやバンドの世代、置かれている環境によって、オフィシャルサイトを持たずとも、SNSで完結させることは可能だと思います。
linktree のようなリンクのまとめサービスは、Twitter、instagram、Facebook、TikTok などSNSのプロフィール部分にリンクすることで (上記は The Lounge Society のTwitter アカウント。プロフィールのリンク部分に linktree のリンクを貼っています)、その機能を発揮します。
Twitter プロフィールから → linktree のまとめリンク → Spotify に飛ぶなど、ユーザーを誘導・循環させることができます。linktree でリンクをまとめただけでは何の効果も得られませんので注意しましょう。
オフィシャルサイトを持たないロンドンのインディーズバンド The Lounge Society の例を見てきましたが、オフィシャルサイトを持たないデメリットはあるのでしょうか?
・SEO が絶望的に弱い
・Linktree だと情報が平面過ぎる (ビジュアル面など)
・情報のまとまりがない (流動的)
SEO が絶望的に弱い
まず linktree のようなまとめリンクサービス最大のデメリットが SEO (検索エンジン最適化) 効果が絶望的に弱いことです。通常アーティストがオフィシャルサイトを立ち上げて、最低限でも SEO 対策をしておけば「アーティスト名」で検索をかけると、自分のオフィシャルサイトが検索上位に表示されます。
linktree のようなまとめリンクサービスの場合は、アーティスト名で検索をかけても上位表示されることはありません。例えば複数のバンドが出演するライブイベントに行って「〇〇というバンドが良かった!」と思い、帰りの電車で検索したけどそのバンドの情報が出てこなかった … というようなことがあるかもしれません。
もしちゃんとオフィシャルサイトを用意していれば、そこからオフィシャルサイトに辿りつき、SNSのリンクから Spotify のリンクに飛び、今日出会ったバンドの音楽を聴きながら帰路につき、ファンになってくれたかもしれません。
Linktree だと情報が平面過ぎる
Linktree は基本テキストとリンクしか表示することができませんので、どうしてもオフィシャルサイトに比べるとファーストビューが弱いです。例えばアーティストのビジュアルやファッションなどが売りの場合、Linktree では大きな画像をアップすることができず、売りポイントをリスナーに訴求することができません。
画像や動画を貼ることができず、例えば動画を見せたい場合は、YouTube のリンクをクリックさせてから最新ミュージックビデオに飛ばすなど、ワンクッションを挟まなくてはいけません。オフィシャルサイトであれば、トップページに最新のアーティスト写真や、最新のミュージックビデオを貼っておけば、すぐに見ることができます。
今回イギリスのアーティスト Harry Styles と、バンド Wet Leg のオフィシャルサイトを見てみましたが、オフィシャルサイトとしての機能を十分に備えており、ハブスポットとして機能していることが確認できると思います。アーティストやバンドにおけるオフィシャルサイトのトレンドをまとめると、
・最新作と連動したトップページ
・最新作の購買動線 (配信先のまとめリンクを設置)
・最新動画も配置 (YouTube のプレイリストなど)
・ライブ/ツアー情報
・各SNSのリンク
・メニューは最小限に
・ニュースレーターを設置
というのが、ここ数年のトレンドだと思います。
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-7-14 VORT青山 5F
メールでのお問い合わせはこちらから
webfactory.tokyo